前略、派遣の冒険。

派遣社員が起業するとどうなるか

読書感想文 会社を変えても、あなたは変わらない?成長を描くための「事業計画」?/海老根智仁

 

適当評価 ★★★★☆

読書感想文は水曜18時に更新します。 

 

タイトルから、転職の話も多いと思いきや、著者の経営論に関する記述が大半。僕に取っては嬉しい誤算だった。

企業理念やビジョンを「土壌」と捉え、しっかりとした土壌の上に「幹」と「枝葉」が出来るという。ちなみに「幹」はビジネス戦略、「枝葉」はオペレーションだ。

僕が興味深かったのが「幹」の部分。実はビジネススクールで習う項目は「土壌」と「枝葉」が多い。どのようにビジョンを語り、チームを作り、どのようにマーケティングしてキャッシュを回すかという議論が多い。でも著者が言う通り、経営陣は「幹」の部分を考え抜かなければならない。

プロダクトで言えば、幹の部分はプロダクト周りの体験やエコシステムで、枝葉の部分は製品のスペックだろう。日本の企業は枝葉の部分はとても強いが、幹が弱い。逆にAppleなどは幹の部分がすごく強い。

 

興味深いのは前の記事で紹介した吉越さんと経営論が全く異なる点だ。吉越さんはビジョンや理念は必要ないといい、海老根さんはビジョン(土壌)がなければ幹も枝葉も育たないという。

このことから、自己啓発や経営論の本を読む時にいろんな人の本を読む必要があるということが分かる。当たり前だけれど、本は著者の経験の範囲内で語られており、著者の人生の中でそれが最適であっただけで、別の方法を試していないだけかもしれない。たまたま上手く行ったみたいなこともありえる。

 

経営の分野と役割についてとても明確にまとめられている良書。おすすめ。

 

 

起業記-35 資金調達の誤算と学び

起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

日本に帰国してから僕は資金調達を進めていたが、一つ大きな誤算が生じた。

冬にエンジェル投資家と話をしている段階で、投資に合意をしていた人がいたが、諸事情により投資が不可能になったとのことだった。契約書にサインをする前だったので、こちらからは何も言えない。むしろこれは僕の詰めの甘さが問題だった。投資に合意した時点で出来るだけ早く書類関係を済ませる必要があったが、その時僕は量産や別の仕事でいっぱいいっぱいだった。量産が終わってから全て終わらせようという甘い考えが招いた誤算だった。

これで会社の資金計画は一気に変わってしまった。一刻も早く資金調達をしなければならない。

 

 

 

起業記-34 製品発送

起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

ぼくは足を引きずりながら中国に行き、製造の追い込みをした。傷の治療方法も伝授してもらったのでなんとか自分で出来たし、結構なんとかなるもんだ。

こうしてようやく初期ロット1500個の生産が終わった。

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生産が終わったことをKickstarterのサポーターにお知らせして、日本に帰国した。

日本に帰ってきて抜糸をして久々にランニングをした。空気汚染されている中国で足を引きずっていたことを考えると、空気な綺麗な東京でランニングをするだけで感動する。走ってるだけで幸せで泣けて来る。

さぁ、これから本格的に資金調達だ。

読書感想文 無敵の思考ーーだれども得する人になれるコスパ最強ルール21/ひろゆき

 

無敵の思考 ――誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21

無敵の思考 ――誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21

 

適当評価 ★★★★★

読書感想文は水曜18時に更新します。 

 

元2チャンネルの管理人ひろゆきの思考方法をまとめた本。一見適当に見える彼だけれど、いろんな仮説を立てながら彼にとっての最善の選択をしている。

成功している人は、最悪の状況を考えた上で、リスクを取ってチャレンジしている。

当たり前だけど、行動する前にしっかりリスクを見極めることは大切だ。

公務員と起業家、最悪のケースを考えるとどちらのほうがリスキーな選択だろうか。僕は公務員という選択肢はリスクが大きいと思うんだけど。

 

日本の一般的な価値観とは少し違う考え方を1時間で体験することが出来る楽しい本。おすすめです。

起業記-33 帰国 体調不良 怪我

 

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

 ビザなしでの中国滞在は最長2週間しかできないが、一度出国すればまた2週間滞在することが出来る。そのため、電車で香港に行って中国へ戻る人もいるらしい。そのような方法は中国政府があまりお気に召さないようなので、最近はあまりやらない方が良いとのこと。

僕は日本に帰国して1週間後にもう一度中国に行くことにした。一週間の間に、不良品が出ていた部品の修理を完了させておく。期限を決めてもなかなか守られないことが多いので、日々しっかりとフォローアップしておくことが大切だ。

帰国して早々に、僕は体調を崩してしまった。理由はなんだかわからないけど体が辛くて動かない。寝袋で寝ながらどうにか回復して、カップラーメンを作っているとき、バランスを崩した。その時友人のスーツケースが開いた状態で置いてあり、そのエッジの金具部分に足をついてしまった。痛いなーと思って足を見てみると、右足の親指と人差し指の付け根がざっくりと切れている。

その時最初に思ったことは「あー。面倒な怪我しちゃったなぁ。仕事どうしよう。」という事だった。ぼくはきっとワーカホリックだ。

友人がその怪我を見て、「お前それやばいよ」と言っていた。言われてみると確かに傷が深いし、なんだかやばい気がしてきた。外は雨が降っているしこれじゃ歩けない。結局友人は救急車を呼んでくれた。きっと友人がいなかったらもう少し仕事について考えていたと思う。いま考えるべきことを教えてくれた友人に感謝。

 

救急車の中でなんか写真を取ってみる。

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そうだ。チームに連絡しないといけない。

I got injured and I'm in an amburance now. It should be fine, but I'll update you soon.

 

こうして病院に運ばれて、結局9針縫うことになった。怪我をして1時間ほどで治療が終わっていて、かつ治療費も数万円だ。こんな素晴らしい国が日本以外にあるだろうか。怪我をしたのが日本でよかったと心から思った。

こうして無事に怪我は治療してもらったけど、松葉杖が必要だし、1週間後には中国に行かなきゃいけないし、いろいろ面倒なことが多そうだ。これを病院の先生に言うと、先生も面倒くさそうな表情をしていた。

「とりあえず、中国行くまでは3日に一回通院してください。中国行く前に治療法を教えてあげるから、向こうでは自分でやるしかないね。帰ってきたら抜糸ですね。」

ということで治療法を伝授してもらい、足を引きずりながら中国へ行く事になる。

身も心もボロボロというのはこう言う事なのかもしれない。

 

 

起業記-32 量産開始

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

中国を再訪問し、量産を開始した。

量産まで行う過程で、中国で製造するコスパについて考えることが多くなった。確かに物の単価は他の国に比べて安い。どんな案件についても「出来る」と言うので、スタートダッシュも出来る。でも、計画が甘いと必ず修正のために戻らなければならない時が来るし、お金を払った後に露骨にスピードが落ちる。そして、どれだけ仕様書を固めていても、現地へ訪問して付きっ切りで作業を行わないと品質を保つことが出来ない。これらの事を考えると、物の単価とは別に渡航費や時間が余計にかかって来る。それらのコストを加味すると、実は日本で作るのとあまり変わらない。僕は日本人なので、日本でのコミュニケーションは問題ないし、ビザも必要ない。そして日本のものづくりの品質は異常に高い。と言う事で、ロット数が一万個くらいまでの製造であれば、日本の方が良さそうだと言うのが僕らの感覚だ。

でも今回の量産についてはもう日本に変えることは出来ない。中国の製造ラインに張り付いて、しっかり品質を上げるしかない。

そして中国での量産が始まった。始まってみると、全ての製造工程で問題が噴出した。ここで僕らは自分たちの甘さを痛感する。物を100個作るのは割と簡単だけれど、200個を超えて来ると突然品質にばらつきが出て来る。

頭が痛くなるほど問題があるなかで、一番大きな問題になったのは電子基盤だった。電子基板を1500個作った後に、設計通り動いていないことが発覚する。これが回路図の問題だったら、1500個が全てダメになり、数百万円が飛んでいき、新たに製造をするのに1ヶ月は必要になる。こうなったら本当に会社が潰れるかもしれない。本当に胃が痛くなった。1つずつ原因を突き詰めていくと、基盤上のある部品が壊れていることが発覚した。基盤部品の会社が量産の際に、試作と別ロットの部品を提供していて、その中に不良品が大量に入っていたのだ。ぼくはスーツケースに電子基盤をいっぱい詰めて、夜行新幹線で電子基盤の製造業者へ向かった。あまりにも不自然な持ち物なので新幹線のセキュリティーで止められたが、英語で永遠と説明しまくったら通してくれた。英語がわからない中国人に英語で喋り続けることで、なんとなく許してもらうという技を身につけていた。基板を作り直すという最悪のケースは回避できたものの、時間的に大きなロスに繋がった。

ガラスのボトルでも不良品が多く発生しており、その修正にも時間がかかった。

こうしているうちに、中国にビザなしで滞在できる上限の2週間が経過しようとしていた。そのため僕は一度日本に帰国することとなった。

 

 

読書感想文 新装版「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た日 / 馬場康夫

 

適当評価 ★★★★★

読書感想文は水曜18時に更新します。 

 

本のタイトル通り、ディズニーランドを日本に誘致する物語。富士スピードウェイ周辺で三菱が立候補しており、浦安で三井グループオリエンタルランドが立候補していた。

オリエンタルランド側のプレゼンをしたのは電通出身の堀貞一郎。当初予定していた同時通訳を無視し、本番でアメリカ人に対して日本語でプレゼンをするという、伝説のプレゼンから物語はスタートする。

本書はオリエンタルランド側の主要人物に焦点を当て、彼らの生き方を紹介している。時代は戦後、日本で初めての民放解説、広告会社、鉄道、埋め立て、レジャー施設、今あるものの全てがここから作られている。それらが作られる過程の話はとてもエネルギッシュでエキサイティングだ。

浦安の埋め立てを計画している時、現地の漁師との交渉担当で採用された理由は”酒が強いから”だ。彼は毎晩漁師と飲み比べをし、全員に飲み勝ち、交渉をまとめた。初月の飲み代は現在の価値の1000万円を超えたらしい。もちろん酒だけではないけれど、こんな粋な話が楽しめる。

ハイチ舞踏団のお別れパーティーにて、当初褐色の肌で差別を受けていた彼らに送られたスピーチは

真っ白のパンは旨くない。パンはトーストの方がいい。これからはトーストを食うたびにお前たちを思い出すわ。

こんなことを今言ったら炎上するだろうけど、すごく心に刺さるスピーチだ。

 

ここには書ききれないほどエキサイティングで、それでいて各所にビジネスやサービスにおいて大切な要素が散りばめられていてる。是非一読してほしい。

 

最後に。全てが作られている現代を憂う若者に、主要人物の小田が送った言葉。

岡田くん、いつだって時代は過渡期だし、キャンパスは真っ白なんだよ