前略、派遣の冒険。

派遣社員が起業するとどうなるか

起業記-30 中国は旧正月で年に一回リセットされる

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

こうして年が明けて2017年になった。僕は年明け早々また中国へ行くことになった。この時点で量産に向けて多くの項目が最終段階になっていたが、僕らはすごく焦っていた。焦っている理由は中国の旧正月だ。

公式には2017年の旧正月は1月末から2月上旬だけれど、実際には1月中旬から2月中旬まで続く。つまり、1ヶ月間製造業者が動かなくなる。そして、旧正月が近くなると、なにかにつけて旧正月のせいにして仕事をサボり始める。

中国に通っていると、中国人にとって旧正月が大切なのは理解出来るようになった。多くの人は地元から出稼ぎに来ており、文字通り週7日働いている。週末に地元に帰る暇もないので、家族とゆっくりする時間もない。子供を残して働きに出ている人も多くいる。そんな人たちにとって、旧正月は家族とゆっくり出来るとても大切な、限られた期間だ。

 

でも。それにしても。

 

長すぎる。

週5とか週6で働いて、連休はせめて10日くらいに出来ないものなのか?と自己中ながら考えてしまう。もちろんそんな簡単に変わらない。

 

ちょっと待った。1ヶ月も休んだら仕事復帰するのが面倒臭くなりそうなものだ。中国の人たちは面倒臭くなってばっくれたりしないのだろうか?

通訳に聞いてみると

 

うん。帰ってこない人結構いる。

 

やっぱりか。。

ここに来てリセットボタンが押される可能性がある。

リセットが押される前に、せめてセーブしておかなければやばい。

 

こうして僕は旧正月が始まる直前に再度訪問し、旧正月明けのスケジュールの共有とプロダクト製造の改善を行った。

 

帰り際、彼らは嬉しそうにSee you next yearとか言っていたけど、こっちはそんな休んでいる暇はない。

これから1ヶ月実質的に製造に関して何も出来なくなるけれど、その間に日本でネットワーキングとファンディングを進めなければならない。

読書感想文 明日クビになっても大丈夫!/ヨッピー

 

明日クビになっても大丈夫! (幻冬舎単行本)

明日クビになっても大丈夫! (幻冬舎単行本)

 

適当評価 ★★★★☆

読書感想文は水曜18時に更新します。 

 

とにかく行動しろ!と言わず、なぜ会社がつまらないか、どのようにしたら勝算があるかを優しく面白く解説している。

 

「組織の倫理」と「個人のやりがい」は構造的、本質的に対立する概念になっているというジレンマについては心にとどめておくといいかもしれない。

その通りだと思う。僕の場合は自我が強すぎるので、サラリーマンの時にはとても苦しかった。当時は会社のせいにしていたが、会社が悪いのではい。組織において、優秀かつ代替え可能な人材ほど重宝される。 トゲや自我は必要とされない。

 

例えばロレックスの時計が50万円だとして、「自分へのご褒美」的なノリでそれを買ってしまうのであれば、その50万円を使って100人くらい集めた飲み会でもやってみたらどうか

お金の使い方について、すごく面白いインサイトだと思う。短期的な私欲を満たすための買い物よりも、長期的な目線でお金を使うことで、結果としてそれがまたお金を産むことになる。

 

追い込まれている人や意識高い系の人が読む自己啓発本ではない。おそらく社会の過半数であろう、なんとなく会社に行って、なんとなく消費している人にオススメの本。

 

起業記-29 日本で資金調達

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

日本に帰国した理由の一つが、日本での資金調達だ。僕らはクラウドファンディングで資金を集めたが、製造にかかるコストや製造後のランニングコストを考えると、この段階から資金調達の準備をしなければならない。

帰国した当初僕は日本のスタートアップ界隈には全く繋がりがなかったので、とりあえずネットで調べたイベントに参加し、人に話しまくった。機会があればピッチイベントに参加して自分のビジネスを紹介する。そうやって徐々にネットワークを広げていき、週に2−3件のペースでベンチャーキャピタルと話が出来るようになった。まずまずの滑り出しだったと思う。

ある日、イベントで知り合った人と電車に乗っていると、「今から**さんと会うから、来てみる?」と言われた。誰だかわからなかったけれど、とりあえず「行きます!」と言って付いて行った。サンシャイン60のseatle's best coffeeだった。そこで初めてお会いし、名刺を交換し、1−2分のプレゼンをした。軽く質疑応答を終えた後、

 

男性「いくら投資したらいい?」

僕「ウン百万円です。」

男性「わかりました。資料送っといてください。」

僕「わかりました。ありがとうございます。」

 

挨拶から15分くらいだ。興奮した。映画で見たやつや。

興奮したまま電車に乗り、ふと冷静になった時、悔しさが込み上げて来た。

投資金額を聞かれた時、なぜもっと高い金額を提示できなかったのか?

これだけ自信を持っているビジネスなのに、弱気になってしまったのか。急な展開に驚いてしまったのか。倍の金額は提示できたはずだ。本当に悔しい。

初めての契約は悔しさが残ったが、こうして動き回ることで日本のコミュニティーにも慣れて行った。

起業記-27 クリスマスの中国訪問

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

2016年のクリスマスに僕は日本へ帰ることになっていたが、帰国の3日前に製造業者で問題が発生し、僕は急遽中国へ行かなければならなくなった。

予定が変わることはよくあるので大丈夫だけれど、プライベートで僕の周りにいる人たちには迷惑もかかる。クリスマスに一緒に予定を入れていても、3日前に変更されたら嫌な気持ちになるだろう。孤独になるかもしれないけど、プライベートと仕事を天秤にかけるとき、僕は仕事を選択している。

話がそれるけれど、僕はクリスマスを心から楽しめない。街全体が無理してる気がしてちょっと冷めてしまう。忙しくてサービス悪いし、混んでいるし、あんまりいいことがないので家でゆっくりするか仕事をしていたい。自分の誕生日も苦手だ。自分が生まれた日は他の364日と変わらなく大切な1日だ。むしろ歳を取るので少し焦りを感じる。そんな日に悠長にプレゼントもらってケーキ食べてたら置いて行かれそうな気がする。仕事したい。ただ親にとっては(たぶん)大切な日であると思うから、誕生日は大人しく実家で過ごせたらいいと思う。もちろん無意味な飲み会も嫌いだ。

こうゆうワーカホリックな価値観で生きていると結構周りに迷惑がかかる。離れていく人もたくさんいる。でもしょうがない。取捨選択して今やるべきことをやらなければならない。

こうして僕はクリスマスから訪中して、年末30日に帰国した。31日にテキーラを飲んだ。しばらくお酒を絶っていたので、約半年ぶりのお酒だ。一気に酔いが回った。

2017年の活動は日本と中国が中心になるだろう。頑張ろう。

読書感想文 オープンイノベーションの最強手法 コーポレートアクセラレータ/村上恭一、鈴木規文

 

オープンイノベーションの最強手法 コーポレートアクセラレーター

オープンイノベーションの最強手法 コーポレートアクセラレーター

 

 適当評価 ★★★★☆

読書感想文は水曜18時に更新します。 

 

大企業が一定期間スタートアップを支援するコーポレートアクセラレーター。アクセラレータ期間内では、スタートアップは大企業のリソースを使うことが出来、大企業はスタートアップの革新性やスピード感を体感することが出来る。また、プログラム終了後は大企業からの出資が行われ、スタートアップと大企業が協業するためのステップになる側面もある。

このコーポレートアクセラレーターについてまとめられた教科書のような本。大企業がコーポレートアクセラレーターを行う意味やメリット、注意すべき点が書かれている。スタートアップが留意すべき点も記述があるので、この本を読んでおけば基本的なことを網羅出来る。

弊社はKIRINのコーポレートアクセラレーターに参加しているが、アクセラレーター参加までには3段階くらい選考が行われた。この本を読んでおけば、選考プロセスで大企業がどのようなことを求めているかを知ることが出来るので、情報の非対称性を改善することが出来る。コーポレートアクセラレータに興味がある場合には一読しておくべき一冊。

起業記-28 帰国、そしてホームレス

 

起業記は月曜と金曜18時に更新します。

2016年の年末に帰国したが、いつまで日本にいるかわからないので家を借りることが出来ない。実家は栃木なので、東京に通うには不便すぎる。ということで、僕はホームレスになった。

友達と食事をしている時にふとこの話をすると、「家来ていいよ」と言ってくれた。彼は新宿に住んでいるので、立地も最高だ。そして僕はこんな寝床を手に入れた。

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こうして寝袋で寝る生活が始まった。ということで一応ホームレスは卒業した。

ある日家主の友達と新宿のガードレール下を通った時、そこで生活している人がいた。僕らは「俺とあの人の差は部屋を貸してくれる友達がいるかいないかの差だけだな」とか冗談を言っていたけど、本当に差はそれだけだと思う。無駄な飲み会に参加しないと、無駄な友達は離れていく。でもなぜか数名周りに残って、応援して助けてくれる。

ちなみに僕は寝袋の生活は結構慣れていた。アメリカのオフィスでこのような寝袋で生活していたことがあるので、地面がボストンか新宿かの違いだけである。新宿はマットが敷いてあるのでむしろ快適だ。

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起業というと格好いいかもしれないけれど、実際は本当に泥臭い毎日だ。寝袋で寝て、はんだ付けして、プレゼンして、クレーム対応して、、それでもやめられないくらい楽しいのだけれど。

起業記-26 女神が現れた

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

僕は在学中からアメリカの労働ビザを使用していたので、2016年の年末にはビザが切れることになっていた。計算すると12月24日に切れるらしい。意味はないけどクリスマスにビザが切れて出国しなければならないなんて皮肉なものだ。ただクリスマスに出国するのは良い面もある。基本的にアメリカは12月から1月まではホリデーシーズンなので飛行機のチケットが高いけれど、クリスマスだけは結構安い。クリスマスを飛行機で過ごしたい人などいないのだろう。そういえば話は全然違うけれど、クリスマスイブのディズニーランドは意外にもガラガラだったりする。激混みするイメージがあるのか、みんな行かないみたいだ。

移民起業家にとってアメリカはとても住みにくい国で、起業家に対するビザはほぼ皆無といっても良い。あの手この手を使ってビザを取得することになるが、移民弁護士も高額だし結構大変だ。そもそも移民弁護士というのは、ビザが取得できなくてもアメリカ移民局のせいに出来るので、情弱を狙ったぼったくりがいるらしいので注意が必要だ。

母校のBabsonは起業家育成で世界的に評価されており、MBAの約半数はアメリカ国外から来ている生徒だ。移民起業家のビザの壁が高いということはBabsonとしても問題意識があるらしく、ちょうど2016年からGEIRというプログラムを始めていた。GEIRプログラム、ざっくりいうと、Babsonが起業家のビザスポンサーになり、起業家はビザを取得する。起業家は週10時間Babsonでボランティアを行い、残りの時間は自分のビジネスをする。僕らも移民起業家代表みたいな感じで、GEIRプログラムオープニングセレモニーではスピーチをしたりしていたが、少し基準が厳しいので2016年の応募は見送っていた。

帰国も2週間後に迫っていたが、僕は荷物が多くないのでパッキングも何もない。普通にみんなと仕事をしていた。そんな時、イベントでたまたまBabsonの事務関係をやっている女性と会って話をした。するとその女性は「あー、君たちね。ビザはいつ切れるの?2週間後?じゃあGEIR応募しなさい。通しておいてあげるから。時間がないから明日応募しなさい。」と言って来た。いきなり女神様みたいな人が現れたのでキョトンだったが、Co-Founderは笑いながら「俺は知ってたよ」と言っていた。理由を聞くと「この前占い師が言ってた」とドヤ顔で言っていた。意味不明だけど、これもインド人のあるあるだ。彼らの占いに対する信頼度は思いの外高い。

こうして僕らは無事にGEIRプログラムに選ばれる事が出来た。どちらにしてもビザ取得まで時間がかかるので、僕はクリスマスに出国することになった。