前略、派遣の冒険。

派遣社員が起業するとどうなるか

日本人は起業に向いている

日本人はリスクを取らず起業をする人が少ないという印象はあるし、実際にアントレプレナーシップのランキングでは相当下の方に位置している。ただ、僕は日本人は世界で 一番起業に向いている民族だと思う。

まず日本人は割となんでも出来る。例えば普通に働いている人が料理と洗濯もする。これは日本人にとっては普通だけど、他の国ではそうではない。アジア圏から来ている上流階級の人たちは基本的にお手伝いさんが家事をやってくれる。彼らは家事雑用は出来るけれど、家事は日常ではないのだ。こういった傾向は職場でも割と当てはまる。日本人以外の人は、自分の専門分野においてのみ仕事をしようとする傾向がある。 モバイルアプリ開発のソフトウェアエンジニアは、ウェブアプリは基本的にやらないし、マネージャーとして自分を位置付けている人たちは、手を動かして物をつくることはせず、チーム作りに専念する。こういった適材適所型の人材は大きな企業ではワークする。各チームメイトが自分の得意分野で最高のパフォーマンスを出せば組織として最高のパフォーマンスが出るというロジックだ。Googleではコンピュータサイエンスを学んだ人材がプログラムを書くことに集中し、MBAをとった人材がビジネスをマネジメントすることで効率的に最高のパフォーマンスを出す 。 一方、日本人はよくも悪くも器用なので、割となんでもやるし、やれと言われたら出来てしまう。この日本人的傾向は、近年のビジネスにおいてはネガティブに受け入れられることが多い。コンピュータサイエンスを学んでプログラミングが好きでも、優秀だとなぜか日本では格上 とされている仕様書書きになってしまい、自分の得意分野で パフォーマンスを出すことが出来ない。文学を学んだ人が派遣社員としてその仕様書に沿ってプログラムを書いていたりする。文学を学んだ人が仕様書を書けばワクワクするような仕様書が出来上がるかもしれないのに。まぁそんな具合で、日本的な器用さはビジネスのトレンドと比べるとあまりイケてないとされている。 ただし、この器用貧乏のイケてなさはスタートアップにおいては全く別だ。起業をすると、会計、技術開発、マーケティング、法律など全部やらなければならない。それにお金がないから専門分野の人を雇う事も出来ないし、専門分野で長けている人をスタートアップが説得するのも結構大変だ。そうなると、結果的に自分で全部やらなければならなくなる。こんな時には、日本人的器用さが驚くほど力を発揮する。例えば僕の専門はハードウェアのエンジニアだが、基本的なモバイルアプリは作れるし、基板の設計も出来る。部品を買い集めて半田付けして試作品を作ったりするのも出来るし、木の部品にニスを塗って綺麗に仕上げて写真を撮ったりするのも割と好きだ。 会計もそれなりにやるし、飛び込みで営業をやれと言われれば、あまりすきじゃないけどやりきる事も出来る。自分がすごいと言っている訳ではなく、僕は日本人全般でこのような器用さがあると思っている。

日本人はこのような器用さを当たり前だと思っているが、世界的にはすごく特殊な能力だ。このような器用さはスタートアップでは本当に重宝されるし、このような人材がいないスタートアップはまずスタート出来ない。

もう一つ。基本的にスタートアップは、解決できそうにない問題を解決することでバリューを出す。簡単に解決できる問題であれば、大企業がお金と人材にものを言わせてやったらそれで終わりだ。日本人が問題に直面した時の思考回路は、とてもスタートアップ的だと僕は思っている。まず難しい問題に直面した際、日本人は「どうしたらこの問題を解決できるか」という思考回路で考える 。諦めが悪いとも言える。それに比べて、海外では「無理なものは無理」という思考回路が一般的だ。この日本人的な問題解決型の思考回路が、スタートアップでとても重要な要素なのだ。日本人はなぜかその要素を持っている。日本人にとっては普通なことだけど、世界的に見たらとても変態的で バリューがあるものなのだ。このように、日本人は器用さに加えスタートアップ的思考回路も兼ね備えいる、実は起業家エリートなのだ。