前略、派遣の冒険。

派遣社員が起業するとどうなるか

起業記 - 5 初めてのビジコン

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

ビジネスアイディアをある程度固めて、初めてのビジコン。

ビジコンの流れは、まず書類選考があり、次に2次選考、最終選考となる。

書類選考は担当者が提出されたビジネスプランを参考に選考する。

2次選考では、各チーム与えられたブースで参加者に対してプロダクトのデモなどを行う。また、会場で1分間のピッチを行い、イベント参加者と審査員が最終選考に進むチームを決める。

最終選考では審査員に対して約10分のピッチを行い、全チームのピッチが終わった時点で優勝チームが決まる。

どんなマーケットサイズがあり、どんなニーズがあり、どれくらい売れるのか。どんなストーリーで始まり、どんなメンバーでやっているのか。それで賞金の$20,000をどのように使うのか。これらの情報をビジネスプランにまとめていく。普段MBAの授業でこういった計算や資料作りをやっているけれど、なかなか骨の折れる作業だ。

そうして完成したビジネスプランを提出して応募完了。

もちろん優勝する前提で挑戦しているので、2次選考の準備を始める。

そして1週間後、1次選考の結果が来た。

 

落選

 

ここで初めて自分たちはまだまだ全然ダメだということに気づいた。なんで気づけなかったのだろう。悔しくて泣いた。アイディアだけでは優勝できるわけない。もっと強いチームを作り、プロダクトを作り、そしてなにより顧客がいないといけない。お金の匂いがするビジネスにならないとだめだ。

とても当たり前の話なのだけれど、スタートアップを始めるときは意外とこうゆう基本的なことを忘れがちだ。

スタートアップや起業家のストーリーが美談になるとき、こういった大切な部分は退屈なので省略されるのだと思う。ビジョナリーでパッションがあって成功して世界を変えるストーリーの方がセンセーショナルで気持ちがいい。でもスタートアップはただの小さな会社だ。ちゃんと稼げないとどんなにかっこよくても潰れる。

 

こういったビジコンで負けると良いこともある。

まず、自分たちの弱さに気づけるところだ。アメリカ社会では、普段の生活の中で人のアイディアに対して否定から入ることは少ない。"It's cool!!"とかいって、議論をする。これはアイディアを潰さないとてもいいアプローチなのだけれど、アイディアの弱点を発見しにくいとも言える。アイディアが否定されないので、調子に乗ってどんどん無意味な方向に進んでいく。それが上手くいくかいかないかは、"It's cool!"を言った人のせいではない。自分で気づけなかった起業家が悪い。アメリカ社会は他人に対してオープンマインドであり、かつ無責任だ。こういったアメリカ型勘違いスタートアップにテコ入れしてくれるのがビジコンだ。ビジコンの審査員は”実現可能か”、”お金の匂いがするか”を基準に考えるので、とてもロジカルなプロセスで勘違い企業を落としていく。そして、何が原因で落としたかをフィードバックしてくれる。こうしてスタートアップはやっと夢から目を冷ますことが出来る。

そして次に、ビジコンで負けると周りから余計な人がいなくなる。ビジコンに出ているとき、スタートアップは一種のハイになり、そこのメンバーは少しかっこよく見える。学祭の前みたいな感じだ。そうすると、適当な人が寄って来て、俺もチームに入れてくれ、みたいになる。嬉しいけど、長期的に見たらそういう人は必要ない。上手くいかない時に踏ん張れないから。そして、ビジコンで負けるとそういう人は周りから引いていく。ビジコンで負けて初めていいチーム作りが出来るのかもしれない。

 

こうして最初のビジコンはあっけなく終わった。次の目標は現実的なプランを作り直し、それに即してプロトタイプを作ること。あと1年でMBA卒業だ。時間がない。