前略、派遣の冒険。

派遣社員が起業するとどうなるか

起業記-6 2ndプロトタイプ

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

なぜビジコンで負けたのか、どこを改善すべきか、チームで話し合った。ビジコンで勝つためのマーケット調査が甘かったのは確かだったので改善が必要だ。それに加えて、「このアイディアは良いけれど本当に作れるのか?」というフィードバックが多かった。答えはもちろん「作れる」だ。もちろんビジネスプランにも技術的な実現可能性は盛り込んでいる。でも寄せ集めで作ったプロトタイプしかないハードウェアのビジネスアイディアでは説得力が低かった。綺麗にデザインされたソフトウェアのビジネスアイディアの方が現実的に映るのだ。

負け惜しみかもしれないけれど、ソフトウェアビジネスのアイディアを綺麗にデザインして人に見せるのは割と簡単だ。最終的な商品の10倍デカくて重いハードウェアのプロトタイプを作る方が大変だ。

でも審査員は実現性を評価するときに、綺麗なソフトウェアを好む。綺麗だから。

じゃあ僕らももっと綺麗なハードウェアプロトタイプを作ろう。僕たちはものを作れるチームだ。もっと完成度の高いプロトタイプを作って驚かせてやろう。

こうして2ndプロトタイプの制作を開始した。

1stプロトタイプのデータを元に、3D2Dのモデルを作製していく。かっこいいプロトタイプを作りたいので材料はアルミとステンレスで作る。

実際にものを作ってもらう製造業者はアリババで探す。アリババのウェブページで"alminum prototype"とか"stailess machining"とか検索すると腐る程業者が出てくる。10社くらいに作製したモデルを共有して、見積もりと納期を受け取り発注業者を選定する。中国の製造業者の凄さはレスポンスの速さだ。”we can do it. We will deliver this by xxx for $yyy"みたいな感じで見積もりをすぐにくれる。注意しなければならないのは、ここでいう彼らの納期の98%は嘘だ。すごくストレスが溜まるけれど、お金を貰ってから何かと理由をつけて納期を遅らせてくる。このような文化の違いを言い始めると終わらないので、中国の業者と付き合う際の注意点はあとでまとめようと思う。

こうして無事に?業者を決めて発注し、プロトタイプが届いた。

プロトタイプの出来は最悪だった。明らかに失敗作。基本的な動作は確認できるが、人に見せるにはまったく使い物にならない。

事前の思考実験が足りなすぎたことが主な原因だ。”これらの部品を組み立てるとどのような問題が発生するか?” ”メンテナンスはどうするか?” ”重さはどれくらいか?” こんな基本的なこともしっかりと突き詰めることが出来ていなかった。

”早くプロトタイプを作らなきゃいけない”という焦りが先行していた。

 このプロトタイプで僕らは4週間以上の時間と10万円近い費用を使っていた。このスピード感とコスト感では僕らは絶対に成功できない。

僕はこの時、日本の重工業で実践していた物作りの工程を踏んでいた。3Dモデルを作り、2Dモデルに落とし込んで寸法公差をしっかりと指定し、製造業者を選定して発注する。確かにこの工程は間違いではない。でも僕らはスタートアップだ。発注してものが届く2週間の間に別のアイディアや試したい事が次々と出てくる。毎回数万円のお金を投資できるほど資金もない。

ぼくらは物作りの工程を根本的に変えなければならない。もっとスピーディーに、もっと安価にものを作らなければならない。作ったものを出来るだけ多くの人に見せてすぐに改善しなければならない。このままでは絶対に会社は失敗する。どうしよう。