前略、派遣の冒険。

派遣社員が起業するとどうなるか

起業記-20 最高にエキサイティングで最高に胃が痛いビジネス

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起業記は月曜と金曜18時に更新します。

 

クラウドファンディングが終わり、一通りおめでとうと言ってもらい、生産に向けた本格的な開発が始まった。そして、気づけば2016年の4月に近づいており、5月の卒業ももうすぐだった。

5月に卒業したらどうするか?というのも話し合ったが、この頃にはチームのみんながコミットするようになっており、みんな就職せずにこのビジネスを続けることになった。MBA終了後の平均年収は1000万円近くになるが、みんなそんな機会を蹴ってスタートアップでほぼタダ働きをするという決断をした。僕らは1年後の1000万円を見てるんじゃない、5年後の数億円を見ているんだ。

 

僕らは昨年の夏に落選したSVPに再び応募した。これに受かれば少なくとも10週間はタダで暮らせて、メンターがついてビジネスを成長させることが出来る。

今年は無事に選ばれることが出来た。1年間でちゃんと結果を出したし、昨年の反省は全て活かしたので当然の結果だったと思う(嬉しかったけど)。

 

5月に無事に卒業し、SVPが始まった。学校の寮に泊まり、徒歩1分くらいのコワーキングスペースで毎日働く。学校も卒業したので100%ビジネスに集中できる。本当にエキサイティングな期間だった。

ただ、僕らは自分たちの力を過信しすぎていたし、ものづくりを完全になめていた。ビジネスに100%集中できるからと言ってプロジェクトが早く進むというものではない。ものづくりは理論でできるものではない。一箇所で0.1mmのズレが生じると、改善するのに1ヶ月と数十万円が必要になる。市場に出したハードウェアはアップデートが出来ないので完璧なものを作らなければならない。

僕らは製造を中国で行なっていたが、中国製造会社とのコミュニケーションの難しさを実感したのもこの頃からだ。彼らは基本的に最初は”出来る”という。ただそれを信頼して、実際にものを作ってみると、大幅にスケジュールがズレたり、仕様とはまったく違うものが出来てきたりする。”なんで勝手に寸法変えたんだ?”と聞くと、”この方が良いと思った”という謎の回答が返ってくる。そんなやりとりに時間とエネルギーを使うのは本当に生産性がないし疲れる。でも諦めたら全てが終わってしまう。

ものづくりは想像以上に大変なビジネスだし、オフショア生産というのも想像以上に時間とお金がかかる。最高にエキサイティングだけど、最高に胃が痛くなるビジネスだ。